人間関係

混迷の某国から人間関係について考察した備忘録。

職場の人間関係

仕事における悩みの第一位は、だいたいが「人間関係」だという。職場にいくのが嫌だと感じたり、辞めたいと思ったり、じっさいに辞めたりする場合、職場で常時接する人間が決定的に肌に合わなかったりする。それが直属の上司だったり、自分の責任でどうにかしないといけない使えない部下だったり、陰口をたたいたり足を引っ張る同僚だったりする。

 

しかし、職場というのは、義務教育の場などと違って、友達を作る楽しい場、ではないので、本来、大事なのは人間関係ではなくて、業務の成果だと思う。人間関係に悩んでいる多くの人の原因が、じつは人との関係以前に、単純に業務能力の問題から派生しているような気がする。部下は仕事ができないこと、上司は部下をうまく指導できないこと、あるいは職場のメンバーが職場の環境をよくしようとしていないそのこと自体が、人間関係の悪化につながっている。人間関係が最大の悩みであるなら、人間関係を悪化させないことは、即、業務能力の問題になる。

 

多くの人は、立場的に誰かの部下だから、たとえば、ミスをいやらしく指摘する上司、もしくは怒鳴り散らす上司に悩んでいる、という人がいたとして、部下の側が仕事のできる人であれば、そのようなことは起こらない。できる人は使えない上司など軽く流すか、邪魔なら潰してしまうからだ。派遣や契約の立場だから強くいえない、というような話もあるが、そうであれば、そもそも入口のところでその立場を選んだ、あるいはそれしか選べなかったことが原因でもある。世の中には無数の職種と職場があるのだから、ほんとうに理不尽で精神が参ってしまうくらいなら、仕事を辞めてしまえばよいだけの話なのに、どんな仕事をしてでも食べていくという覚悟もないので、理不尽に大して反抗も逃走もできず、ただ神経をすり減らし、またミスを重ねていく。中間管理職であれば、上司の意向とバランスをとった結果、目をかけているはずの部下からも不評だったりしてさらに悩む。

 

職場で人間関係に悩む人には他責の人が多いような気がする。自分の仕事の至らなさや態度や言動を棚に上げて、他人のせいにするだけで、本音では自分は悪くないと思っていたりする。また、その人自身が、他人の悩みの原因になってしまうような人間だったりもする。周囲の人間が、自分のことで悩みを抱えているなどとは考えない。怒れば怒ったで落ち込むが、親身になればなったで、うざいとかありがた迷惑と感じたりする。仕事を与えれば大変だといい、与えなければ見限られたと感じる。部下が使えなければイライラして、部下から指摘を受ければムカムカする。

 

職場の人間など、本来は、人も間関係のなかでもっとも流動的かつ表面的で、自分次第でコントロールできるもののひとつなのだから、これ以上悩まないためには、他人を変えようとするのではなく自分が変わること、それ以上に、人間を扱う能力もふくめて業務能力を向上させる努力を重ねることで、職場の人間関係は無視することができる。仕事ができない人は、それは業務能力の問題で、人間関係とは別の話なのだと、わりきったほうがいいかもしれない。多くの人にとって、仕事は人生の大半の時間を占めるが、それでもすべてではない。仕事で否定されたからといって、すべてがなくなるわけではないし、仕事ができないことや、よい会社に入れないことで悩む人は、肯定されるものなどひとつでもあれば儲けもの、くらいに思っておいたほうがいい。